僕が大学二年生の頃に出版された本だった。【略】②。 7-3.→8.

7-3.僕が大学二年生の頃に出版された本だった。

僕は出来なかったが、いや、これからするかも知れないが、愛する人が死を迎える間に何もしないというのも考えにくい。そこから起こりうる結果の一つに関して全く例がないのは……不気味なモノを想像させる。しかし、その事に関しては既にデジタル化された新聞でも確認したし、もう『マリッジ・ブルー』に関する知識として広く知れ渡っている。裏表紙を確認すると、その本は初版だった。重版されているかは分からないが、僕が大学二年生の頃に出版された本だった。まだその当時は『謎』だったことなのだろう。アンを見ると下を向いていた。泣いてはいないけど、涙が流れていないだけかも知れない。手渡す時のアンの顔をちゃんと見ておけば良かった。僕は、できるだけ優しい声を出すようにして、言った。

「大丈夫、知っている。知っているから。」

 その言葉が、正しい言葉だったかは、分からない。


8.【略】②。

 ドッドッド……僕の手にエンジンの振動が伝わる。臨死最恍惚微笑(ニアデス・ハピネス)が始まると三分経たないうちに花嫁は死に、そしてまた三分経たないうちに、ゾンビとして復活するという。変貌していく彼女を見るのは、ツライ。だけど僕はその最期の様子を見なければいけない。最後に「ありがとう」と言い、その後は違うモノへと変わっていく彼女をじっと見つめていた。

 見慣れた『形』が崩れていく様子は見るに耐えない。だけど例えば、映画などでシーンとして観た事があるからか、思っていたほど心が壊れてしまうような衝撃はなかった。それは心を守ろうとする防衛反応のようなモノだったのかも知れない。

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