花嫁は年を越せない。 2-1.

2-1.花嫁は年を越せない。

 「花嫁は年を越せない」。そんなセンセーショナルな見出しがトップニュースを飾ったのは、数年前のこと。当時、まだ高校生だった僕は、その第一報をブログポータルサイトのトップページのヘッドラインで読んだ関係で、どこかの嘘ニュースサイトが作った虚構のニュースかな?と思ったのだけど、残念ながら、それは虚構ではなく事実だった。

 それから五年経ち、六年経ち、徐々にその詳細は分かってきたが、その根本的な原因は分かっていない。ただ、原因は分かってないが、起きる現象は何例も確認されている。ある未知のウイルスに女性が感染すると、感染から三六五日以内に、確実に死亡する……そのようなことが世界中で起きた。「三六五日以内」とは大まかな日数だ。感染から潜伏を経て、発症、死亡に到る中で、冬になれば発症が増え……今まで確認された中で年を越した女性はいなかった。そのため「三六五日以内」とされている。また、感染は初婚の女性に限られ、特に婚約、結婚から間もない女性に多くみられた。「『花嫁』は年を越せない」奇病である。ただ、花嫁が死亡するということよりも、この奇病がより深刻なのは、発症し死亡した女性が再び生き返る……という部分にある。それは例えば仮死状態になり、再び意識を取り戻すということであれば、何も問題もないのかも知れないが……救われないのは、人じゃない生き物として蘇ってしまうという部分にある。

 多分、多くの映画や、もしくはゲーム、ゲームが原作の映画を観てきた僕たちには、現象を一言で理解できる一番の言葉だと思うけど、一度死んだ花嫁は『ゾンビ』となって生き返る。生き返ってしまう。今のところその状態を戻す有効な手立てはない。悲惨なのはそのゾンビは人を襲い、仲間を増やしてしまうことだ。まるでパニック映画のような話だが、ゾンビに噛み付かれた人は男女を問わずゾンビとなってしまう。さらに、ゾンビの中でウイルスが増殖してしまう。空気感染も接触感染もしない、感染するには別の因子も関係していると推測されているウイルスだが、目の前で明らかに増えているモノを駆除しない訳にはいかない。【略】しかない。

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