死の宣告を受けた。 3-2.

3-2.死の宣告を受けた。

アンも子ども達を見ていたのか。いや、見ていたように見えた僕を見ていていたのかも知れない。こういう時、どうしたら良いのだろうか。何ができるのだろうか。どこか、頭の中で現実として受け取れてなくて、アリテイな言い方をすればリアルじゃない。死の宣告を受けた。アンは年内に死ぬ。もっと悲壮な気持ちになってもよさそうなのに、今日は明るくて暖かで、そんな気が全然しないからか、頭の方が追いついてないのかも知れない。もしかしたらあの医者もウソをついていて、アンが何かのサプライズを用意していて、今日は何の記念日でもないけれど……。

「私、死んじゃうね。」
 ……。
「……うん。そうだね。」
 ……何が「うん」なんだ!
「……どうしたい?とか、どうして欲しい、とかある?」
「……アンは、どうしたいの?」
「私?私はね。うーんと、そうだな……。」

 ……沈黙。聞かれて聞き返して、すぐに後悔した。そんなこと決まっていたら聞く訳ないじゃないか。僕はアンが死んだら独りになる。でも、アンは死んだら……死ぬんだ。二人の問題だと思っていた。だけど、そうじゃあない。そうじゃあないんだ。

「私はね。アリテイに言うと、生きていたいかな?なーんて、すっごく普通だけど。」

 ……無理しているのが分かる。笑っているように見える目の端に涙が溢れてきている。

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