指で挟んで栞に。 7-2.

7-2.指で挟んで栞に。

それよりもむしろ、確率的に言えば活躍する機会がほとんどゼロに等しい、各市町村に設置されている『再殺課』の方が問題視された。事業が仕分けられたりする中で、それは他の課との兼務となっていったようだ。チェーン・ソウなどを使うことから都市整備課が兼ねることが多く、焼却に関する装備が必要な『再殺』を行うときは、機動隊や自衛隊などが立ち会うことが多いようだ。そのようなことも「当たり前」となってからは、ほとんど記事になることはなく、ここ数年では『お悔み』に登場するくらいになってしまい、新聞記事での扱いはほとんどなくなっていった。例えば「治療法が発見される」……などと言う話題は全くなかった。それがあれば今こうしている訳ないのだけど、それでも何かが見つかるのじゃないか?と思い、画面をスクロールさせてヘッドラインを追った。だけど僕の読みたい記事は見つからなかった。

 アンの方を見る。目で伝わったのか、アンは僕のところに来た。特に手がかりになるようなモノはなかった。アンも同じような感じだった。だけど手に一冊本を持っていて指を挟んで栞にしていた。僕はその本を読ませてもらう。

『本当に愛し合っている、そして新婚の場合でないとマリッジ・ブルーは発症しない。妊娠の後の結婚、いわゆる「できちゃった結婚」の花嫁はマリッジ・ブルーに罹患しない。だが一つ気になるのは、その例が全くないとは考えにくいのだが、感染してから発症するまでの間に妊娠が今のところ、確認されていない、ということである。今後、更なる研究が待たれるが……』

 アンが開いていたページにはそう書かれていた。

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